(左:半田・知多地域エネルギー株式会社 取締役 宮澤賢治様、右:同左 産官学連携事務局 松浦猛様)
愛知県半田市の重点対策加速化事業の一環として、公立小学校2校に太陽光発電パネル「オクトバズ」を導入した半田・知多地域エネルギー株式会社様。古い校舎の構造的制約や防水改修への配慮など、公共施設特有の課題を克服し、地域の脱炭素化モデルを構築した本プロジェクトについて半田・知多地域エネルギー株式会社 取締役 宮澤賢治様、同社 産官学連携事務局 松浦猛様にお話を伺いました。
1. 地域と地元企業が進める小学校の太陽光発電プロジェクト
――今回の小学校への太陽光パネル設置プロジェクトですが、どういった経緯からはじまったのでしょうか。
当社は、半田市の「重点対策加速化事業」の採択を受け、5年間の協定期間内に公共施設へ約1,500kWの太陽光発電設備を設置するプロジェクトを進めております。その一環として、この度、横川小学校と宮池小学校の屋上へ太陽光パネルの設置を進め、2月に工事が完了する予定です。
本事業については、地元企業として半田市の脱炭素化を推し進める市の姿勢に強く共感し、「ぜひ協力させていただきたい」という思いから公募への参加を決意いたしました。地元企業として参加する以上、単なる設備導入に留まらず、地域貢献や地元経済の活性化に寄与したいという点も当社の公募参加理由です。

今回の2校への設置は、特定の電力不足を解消するためのものではなく、市全体の公共施設を対象とした順次導入の一環です。昨年度や来年度以降の予定分も合わせると10施設以上に太陽光パネルを設置する計画ですので、引き続き各施設への設置を進めている最中となります。
――重点対策加速化事業の一環として、小学校に限らず多くの公共施設に設置が計画されているということでしょうか
小・中学校、役所や公民館など、公共施設のほとんどは陸屋根(※囲いのある平たい屋根)の建物です。太陽光設備の需要は高いものの、屋根の強度制限や定期メンテナンスの必要性から、導入はなかなか進んでいません。ただ、条件さえ整えれば公共施設は再エネ導入に適しており、給食センターやクラブハウスなど、今後はさらに多くの施設への設置を計画しています。
2. 多くの課題に直面する公共施設への導入とは
――小学校への導入はどういったプロセスやルールなどがありましたか
公共施設の中でも、特に小中学校への設置に際しては半田市からも強い要望がありましたが、第一にはやはり安全対策です。通われている生徒さんが足場に登るようなことがないよう、徹底した管理が求められました。また、公立の学校は災害時に避難所としての使用も想定されます。有事の際に安全性が損なわれるようなことが一切無いよう、高いレベルでの安全施工や建物の耐震性・重量制限のクリアが必須条件となりました。
設備の選定については学校施設の維持管理もしっかりと考慮する必要がありました。定期的な屋根メンテナンスの妨げにならないのはもちろん、老朽化が進んでいる校舎も多いため、「将来的な雨漏り改修や断熱改修の際に、パネルを一時的に取り外せるような施工にしてほしい」という強い要望があり、これについては、どのような設備・工法が最適か、関係各所と検討を重ねながら進めていました。

3. 難課題をクリアしたFD社の太陽光パネル架台「オクトバズ」
――今回、小学校の屋上に設置する太陽光パネルとして、FD社の「オクトバズ」を採用した理由はどういったものでしょうか
計画当初、もっとも頭を悩ませていたのが屋上の防水面でした。公共施設は10年〜15年に一度、定期的な防水改修工事が計画されています。もしパネルが固定されていて取り外しができない工法だと、この定期工事に対し金銭や労力など多くの面から強い負荷をかけてしまうことになること、雨漏りなどの計画されていない突発的な工事が起きた場合は、より困難を期してしまうことになります。こういった時に「どう対処するのか」という大きな問題に直面していました。
FDさんのオクトバズは2025年度の展示会で知りました。オクトバズは「置くだけ」に近い構造で、屋上に穴を開けることも接着剤で固めることもありません。いつでも取り外しができるという柔軟性で、「学校の屋上という条件でも安心して採用できる」と判断できたのが大きかったです。

――オクトバズは重量物である置き基礎を置かないため軽量ですが、この点はどうでしょうか
今回のプロジェクトでは、数多くの施設に導入する必要がありますが、校舎の多くは築40年以上経過しています。建物が古い場合、重い架台やパネルを載せると構造体への負担が大きく、地震の際などの安全性が懸念されます。「なるべく軽く、かつ安全なもの」を選ぶことは必須条件でしたので、オクトバズの「軽量である」点は構造物へのダメージを最小限に抑えられるため非常に好都合でした。また、軽いことは防水層への影響を少なくすることにも繋がり、建物全体の維持管理の面でも非常に有用だったと考えています。
先にお話しした通り、公共施設の多くは災害時に避難所として使用することも想定されます。地震が多い日本で屋根に重量物を載せるのは耐震性の問題も考慮する必要があるため、単純に重い太陽光パネルは導入が困難ではないかと考えていました。オクトバズの軽量という点はこの耐震性の部分でも強い利点となりました。
――オクトバズの強みは総じてどのようなところに感じていますか
半田市は台風の影響を受けやすい地域ですので、他社さんの製品もですが風対策については一定の基準をクリアしていました。ほかの事業者さんにもお話を聞き、最終的にはオクトバズの性能やその価格面で非常に競争力のある提案をいただいたことが決め手となりました。
オクトバズの強みとしては「メンテナンス性(取り外しの容易さ)」と「コストパフォーマンス」のバランスにあると感じています。「建物を長く使い続ける」ことに負荷をかけないため、サステナブルな運用にも相性が良いと思います。
4. オクトバズ導入で実感した施工品質と信頼

――FD社の施工対応と「オクトバズ」導入後の反響はいかがでしたか
プロジェクト決定から着工までのFDさんの対応は、非常に満足のいくものでした。 例えば、設置した足場について学校の先生から「生徒が入り込まないよう、より厳重に対策してほしい」と追加要望が出た際も、コストを上乗せすることなく迅速に対応してくださいました。
また、工事中の騒音について近隣からお声をいただいたこともありましたが、これも一般的な建築現場レベルの音ではあったものの、FDさんが丁寧かつ誠実な一次対応を行ってくれたおかげで、大きなトラブルに発展することはありませんでした。現場を知り尽くしたプロとしての対応力は、非常に高く評価しています。
提出書類についても、FDさんの経験値が活かされました。通常、不慣れな業者だと図面に対して審査機関や市役所から多くの指摘が入るものですが、今回はすべての書類がすんなりと通り、導入までが非常にスムーズでした。
学校や市の担当者に設置計画を説明した際、特に「非常用コンセントの設置」などの防災対策に繋がる点については、非常に好印象を持って受け止めていただけました。
一方で、懸念点として挙がったのは「屋根の防水性能への影響」です。パネルの下に水が溜まって防水層を傷めるのではないかという声もありましたが、それに対しては従来備わっている屋根勾配と排水性への工夫と、オクトバズの「取り外しが容易」という特性を説明することで、安心感につなげることができました。
5. 再エネ推進で描く地域の未来像。太陽光普及と今後の挑戦

――今後の「オクトバズ」の活用について具体的なイメージはお持ちですか
半田市の学校での実績をきっかけに、近隣の自治体からも脱炭素化の相談が増えています。学校の陸屋根に関しては、今のところオクトバズ以上に適した工法が見つかっていないので、以後もFDさんへご相談させていただきます。また、公共施設に限らず、民間でも「老朽化で荷重制限がある建物」には非常に親和性が高い工法です。コスト面でも見合っているため、今後は場所を問わず積極的に提案していきたいと考えています。
――再エネ事業やそれに関する技術など、今後どのような展望をお持ちですか
既存の陸屋根や折半屋根への設置技術は、すでに成熟期に入っていると感じています。今後は、話題のペロブスカイト太陽電池のような新技術への対応が課題になるでしょう。 また、都市部のビルやマンションでは屋根上のスペースに限りがあるため、壁面設置などの新しい手法があれば、二酸化炭素を排出しない「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」を実現する強力な武器になると考えています。採算の取りづらい小規模施設や設置困難な場所へ、いかに広げていけるかが今後のポイントですね。
再エネには風力や水力発電などの選択肢もありますが、この知多半島エリアにおいては、それらのポテンシャルは決して高くありません。一方で、日照条件には非常に恵まれています。 太陽光は、条件さえ揃えば1年足らずで導入でき、コストも抑えられます。さらに「オンサイト(現地発電)」で直接電気を使えるため、災害対策にもなり、送電系統への負担も少ない。地域にとって最も手軽で有効な手段であることは間違いありません。
――最後に、これを読まれている方へメッセージをお願いいたします
正直なところ、今の時代、再エネを導入しないことは「機会損失」であり、将来的なリスクでしかありません。投資回収に時間はかかりますが、事業を継続するなら早く始めた方がメリットは大きいです。電力コストの削減やリスクヘッジ、脱炭素への取り組みなど、もはや設置しない理由はなくなっています。
導入進まない理由の一つに、「ポテンシャル調査の結果と実態が乖離している」ことがよくあります。コンサルの机上の計算ではなく、実際に施工や収支計算まで責任を持てる、地元に根差したパートナーを見つけることが、プロジェクトを成功させる一番の近道で確実な道だと思います。
「どう進めればいいか」と悩まれているなら、まずは専門の企業に相談し、複数のパターンで見積もりを出してもらうことから始めてみてください。もちろん相談先は信頼でき、実績も十分なFDさんがおすすめです。