(豊田スチールセンター株式会社 田原製造部長 田中由洋様)
2030年までにScope1・2を50%、3を27.5%削減するグループ目標を掲げている豊田通商グループの豊田スチールセンター株式会社様。高い目標を達成するために多くの方法を検討した結果導入した太陽光パネル導入の再エネ戦略や導入までの課題解決プロセスなどについて同社 田原製造部長 田中由洋様にお話を伺いました。
1. Scope1・2で50%、3で27.5%のCO₂削減達成に向けた戦略

豊田スチールセンター株式会社では、豊田通商グループの一員として、2050年までの温室効果ガスの排出量のネットゼロに向け、省エネと再エネ導入を進めています。その中間目標として、2019年度比で2030年のScope1・2で50%、Scope3で27.5%削減という目標を掲げており、まずは田原工場でScope2のカーボンニュートラル達成に取り組むこととしました。
Scope2はエネルギー起源の間接排出という区分で自社が購入や使用した電気・熱・蒸気の生産によるCO₂の排出が対象となります。そのため、省エネ、グリーンエネルギー、蓄電池や太陽光発電といった手段を中心に検討を進めました。その結果、再エネ価格の変動リスクを踏まえつつ、できる限り自家発電で進めたいという考えから、太陽光発電を選択しています。
太陽光発電は、比較的導入コストが低くて自家消費もできるのが大きなポイントと捉えています。当社にとっては、環境貢献と同じくらいコストも重要な要素であり、近年の電気料金の高騰を踏まえると、想定している期間の中で投資額を十分に回収できる見込みが立ちました。
そのうえで、「導入時の経済性が高く、長期的なコストメリットとCO₂削減効果のバランスが最も良いのはどれか」という視点で比較検討を行い、その答えとして太陽光発電を選んでいます。蓄電池や燃料電池といった選択肢もあったのですが、まだ技術的に発展途上の部分が多いのが実情です。そのため、現時点でCO₂削減に取り組むうえで、最も現実的で効果的な手段は太陽光発電だと判断しました。
元々田原工場では豊田通商株式会社の提案により2022年から太陽光パネルを設置・稼働をさせておりました。また工場単位の2030年Scope目標の達成を考える際、まず実現しやすそうな田原工場のScope2カーボンニュートラルを完結させるという理由もあります。田原工場での達成は全体目標の約10%を占めていたため、先々のモデルケースとしての有用性も考慮して選定しました。
2. 実績や現場が見えているだけではない、社内ニーズにあった提案ができるパートナーを選定
パートナー企業の選定では、太陽光導入実績に基づく品質だけでなく、施工の安全性とスピードを重視しました。特に工場は稼働を止めることができないため、短工期と高い安全性は必須条件です。各社と比較してもFDさんの提案は専門性が高く、工程を含めた見積りの精度も優れており、また現場の状況をよく踏まえた内容であり好印象でした。
本件に関わらず見積もりの内容を見ても「一瞬で内容の判断がしにくい」「想像がしづらい」提案を受けることもありますが、FDさんの場合は現場がイメージしやすく、また工期や人数といった内容のわかりやすさから透明性という部分でも信頼ができました。
太陽光パネルの導入は環境投資として経営層の理解は得やすかった一方、投資対効果の試算や補助金・税制優遇の活用など、財務面や経済性の検討に時間を要しました。また、社内の関係部署への丁寧な説明と承認プロセスの調整というハードルもあり、特に各部署は工場稼働を止めずに施工できるかを最大の課題としてとらえていましたがが、FDさんの提案により早期解決できたことで安心してプロジェクトを進めることができました。
こうした各所への丁寧な説明が求められる中で、資料作成に必要なデータ提供や補足説明を迅速に対応いただき、大変心強く感じました。特に評価しているのは、当社の環境方針や社内決裁プロセスを理解したうえで、必要資料の作成や説明に積極的にご協力いただいた点です。
こうした伴走支援により、社内調整をスムーズに進めることができました。
追加設置する田原工場第二工場は比較的新しい建屋で、一級建築士の構造計算書により屋根耐荷重に十分な余裕が確認でき、大規模な補強工事は不要でした。加えて、田原地域は日射量が多く高い発電量が期待できるため、太陽光発電に適した環境であったことも追い風になっています。
懸念点としてこの田原工場は海に面した風の強い地域でパネルへの塩害を心配していましたが、FDさんの方で設置環境を考慮し、ダブルガラスコーティングの塩害に強いパネルを設置してくれました。

3. Scope2の目標を達成し、戦略は次を見据えたものへシフト
先に申したとおり、当社は業界のフロントランナーとして、2030年までに削減目標(Scope1,2:50% Scope3:27.5%)を目指しています。今回の太陽光設備導入の位置づけとしては、その第一歩として 田原工場Scope2のカーボンニュートラル実現のための投資と考えて実施されたプロジェクトでした。
導入の効果ですが、本施策により田原工場のScope2は無事目標を達成することができました。これを弾みに、現在は本社のScope1,2を減らしていくかという議論が進んでいます。
Scope2の達成という具体的な目標のほか、環境面以外、企業ブランド価値の向上や役職員の環境意識醸成、お客さまからの評価が高まることを期待しています。特に豊田通商グループとして、自動車鋼板サプライチェーン全体の脱炭素化に貢献できる点は、大きな意義があります。また、太陽光発電の導入を契機に役職員の省エネ意識が高まり、省エネ提案や改善活動が活性化する効果も見込んでいます。
田原工場に関して言えば、当工場の自動車鋼板はScope2が達成されている、つまりカーボンゼロになりますのでお客さまのブランド価値向上のほか、業界の脱炭素貢献も非常に高いものです。将来的には“高品質でカーボンゼロだから使いたい”というご評価でお客さまが増えればと思っています。

4. パートナー企業と導入して終わりにならない再エネ施策を
これからの地球環境を考えても再エネ施策の導入はどの企業を避けては通れないと考えられますが、今のところ「安く、ダイレクトに温室効果ガスを減らせる方法」は、現実的には太陽光くらいだと思います。バイオや蓄電池も技術としては進んでいますが非常時に事務所を稼働させる程度しかまだ蓄える力はありません。当工場を蓄電池で稼働させる容量ともなると投資額は1億円、2億円と非常に高額となり、まだコスト面ではなかなか合わないのが実情です。
それに比べると、太陽光は今の電気料金の水準に近いコストで発電でき、10年以内には設備投資も回収できる見込みです。そう考えると、現時点で一番有効な手段は太陽光発電ではないでしょうか。
本気でCO₂排出を減らしたいと考えるのであれば、まずは規模の大小にかかわらず、太陽光から始めることをおすすめします。

手段のほかには伴走してくれるパートナー企業も重要です。導入の形はそれぞれの企業の事情や方針あり、その企業にあった形で導入することが大切です。当社もできる限り自家消費して、CO₂を削減したいというニーズがありましたので、太陽光パネルを施工して導入する形を選びましたが、企業によってはPPAモデルを選びたいところもあると思います。
そういうニーズにしっかり対応できる柔軟性が、FDさんの強みだと思います。お客さんの状況をちゃんとヒアリングして、ぴったりな提案ができるパートナーがいれば、導入して終わりになることはありません。
企業の環境推進担当は孤独を感じやすい役職です。やるべきタスクの多さに加え分野が専門的なので相談する相手がおらず、悩まれている方も多いでしょう。そんな方こそ、「伴走者」として寄り添ってくれるFDさんのような存在をみつけてほしいと思います。