「FIT」「FIP」という言葉、皆さんは聞いたことがありますか?
再生可能エネルギーや太陽光発電について情報を集める中で、一度は耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、その仕組みまで理解している方は多くありません。
そこでこのコラムでは、FIT(固定価格買取制度)の歴史や仕組み、今後の課題や取り組みを詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読むことで、きっとFIT・FIPについての理解がより一層深まることでしょう。
FIT(固定価格買取制度)の概要
FIT(固定価格買取制度)とは?
FIT「Feed-in Tariff」(フィード・イン・タリフ)は、再生可能エネルギー源(太陽光、風力など)で発電された電力を、政府が設定した価格に基づいて電力会社が購入することを義務付ける制度です。
日本におけるFIT制度導入の背景
FIT制度が導入された大きな理由の一つに、再生可能エネルギーの普及が挙げられます。日本はエネルギー自給率が低いため、外部からのエネルギー供給に大きく依存しています。また、地球温暖化対策として、化石燃料の使用を減らし、再生可能エネルギーの利用を増やす必要性もあります。
FIT制度の主な目的は、再生可能エネルギーの普及促進と、エネルギー供給の安定化、さらには環境負荷の低減による持続可能な社会の実現に寄与することです。
FIT(固定価格買取制度)の仕組み
再生可能エネルギーによる発電は、その初期投資や運用コストの高さから、化石燃料を用いた発電に比べて高額の買取価格が設定されます。これにより、電力会社が買い取る際の経費は必然的に増加します。
その経費を補填するため、一般の電力利用者(企業や家庭)から「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」として追加料金が徴収され、再生可能エネルギーの普及を支えています。
再生可能エネルギーに対する買取価格(以下、FIT価格)は固定価格となり、その価格は一度決定された期間中は変動しません。
この制度により、2016年には、再生可能エネルギー発電のための買取価格として総計約2兆3千億円が国から支出されました。
再生可能エネルギーのFIT価格の推移
それでは、太陽光発電のFIT制度におけるFIT価格の変遷を見てみましょう。
FIT価格やその適用期間は、各エネルギー源ごとに、事業が効率的に進行するために通常必要とされるコストをもとに、適正な利益などを考慮して定められます。
今後のFIT価格は引き続き下落が予想されています。太陽光発電のコストが低下していることを考慮すると、2026年度以降のFIT価格はさらに減少する可能性があります。
| 年度 | 家庭用 (10kW未満) | 産業用 (10kW~50kW未満) |
|---|---|---|
| 2012年度 | 42円(税込) | 40円(税抜) |
| 2013年度 | 38円(税込) | 36円(税抜) |
| 2014年度 | 37円(税込) | 32円(税抜) |
| 2015年度 | 33円(税込) | 29円(税抜) |
| 2016年度 | 31円(税込) | 24円(税抜) |
| 2017年度 | 28円(税込) | 21円(税抜) |
| 2018年度 | 26円(税込) | 18円(税抜) |
| 2019年度 | 24円(税込) | 14円(税抜) |
| 2020年度 | 21円(税込) | 13円(税抜) |
| 2021年度 | 19円(税込) | 12円(税抜) |
| 2022年度 | 17円(税込) | 11円(税抜) |
| 2023年度 | 16円(税込) | 10円(税抜) |
| 2024年度 | 16円(税込) | 地上設置 10円(税抜) 屋根設置 12円(税抜) |
| 2025年度 | 15円(税込) | 地上設置 10円(税抜) 屋根設置 11.5円(税抜) |
FITでの売電方法について
FIT認定を受けるには事業計画の認定が必要
太陽光発電設備を設置しても、生成した電力を自動的に売電できるわけではありません。
FITを利用し、売電収益を得るためには、国からの「設備認定」が必要です。設備認定とは、発電所が国の設定した基準を満たしているかどうかを、経済産業省が確認する作業です。電力会社と電力販売契約も、この設備認定がおこなわれ、認可されることが前提となっています。
FIT制度の課題
FIT制度には、再エネ賦課金による国民負担の増加、売電価格の低下、2032年以降の『卒FIT』問題、電力系統の制約、認定制度の不備など、いくつかの課題があります。
国民負担の増加(再エネ賦課金)
FIT制度は、再生可能エネルギーの導入を促進するために、その発電コストの一部を国民が負担する「再エネ賦課金」によって支えられています。
制度が普及するにつれてこの賦課金の総額は増加傾向にあり、国民の家計への影響が課題となっています。
売電価格の低下とFIT制度終了後(卒FIT)の課題
卒FITとは、固定価格買取制度(FIT)の適用期間が終了することを指します。卒FITを迎えると、発電者は新たな売電契約を結ぶ必要があり、市場価格に基づく売電が求められるため、収益に影響を与える可能性があります。家庭用の太陽光発電は2019年から卒FITの対象者が出始めましたが、産業用の卒FITは2032年以降です。再生可能エネルギーの普及を維持するためには、卒FIT後も継続的に運用していくことが重要です。
電力インフラ上の制約
再生可能エネルギーの大量導入には、インフラの整備が不可欠です。
現状の電力システムでは、急増する再生可能エネルギーの受け入れ能力に限界があり、電力系統インフラへの対応が課題となっています。
認定制度上の課題
FITの認定を受けながらも、実際の発電を長期間行わない事業者が存在し、国民負担の抑制機会を奪っていると指摘されています。適切な発電事業者が安定・効率的な発電を行うことが、再エネ拡大と国民負担の抑制のために求められています。
競争原理が働きにくくなる
固定価格による国の買取保証は発電事業者のリスクを軽減し再生可能エネルギーの普及に貢献しましたが、競争原理を働かせにくくするという側面もあります。より効率的で低コストな発電を促すためには、制度の改革が必要とされています。
FIP制度(市場連動型買取制度)への移行
日本のカーボンニュートラル達成に向けた目標(2030年度までに再エネを主力電源化)とFIT制度の課題を克服するために、FIP制度が2022年4月に導入されました。FIPは「Feed-in Premium(フィードインプレミアム)」の略称で、FIT制度が固定価格での買い取りを約束する仕組みだったのに対し、FIP制度は市場価格との連携を重視しています。市場価格に応じた収入にプレミアムを上乗せすることで、事業者の投資インセンティブを高め、再エネの自立化と普及拡大を目指しています。
FIP制度の仕組み
- 市場での売電:FIP制度の対象となる事業者は、自身で発電した電力を卸電力市場で販売します。
- 基準価格(FIP価格)の設定:発電事業者の投資回収費用などを考慮した「基準価格」が設定されます。
- プレミアムの交付:卸電力市場の「参照価格(市場価格の平均)」から「基準価格」を差し引き、その差額(プレミアム単価)に供給量を乗じた額が、プレミアムとして事業者に交付されます。
FIT制度は電力会社が発電した電気を一定期間、固定価格で買い取ることを国が保証するのに対し、FIP制度では発電した電力を市場で自ら販売し、その売電収入にプレミアムが上乗せされます。市場価格との連動性が高く、電力市場との統合を促します。
FIT制度とFIP制度の目的
「FIT制度」では発電さえすれば固定価格で買い取ってもらえましたが、「FIP制度」では発電事業者が市場に参加することになるため、需給バランスを考慮する必要に迫られます。しかし、それらの調和によって最終的には電力システム運営全体でのコスト低減が予想されています。なお、発電事業者は太陽光の発電量が少ない朝晩など、市場価格の高いときに電気を売ることができれば収入がアップします。その他、発電事業者や需要家(電気使用者)の間に立ち需給をコントロールするアグリゲーターが求められたり、気象を予想しながら蓄電池を有効活用するなど、新しい関連ビジネスの創出も期待されています。

まとめ
この記事では「FIT制度」と「FIP制度」について解説しました。再生可能エネルギー発電の急激な拡大は、FIT制度の導入が再生可能エネルギー拡大の大きなきっかけとなりました。しかしその一方で、再エネ賦課金の高騰という新たな課題も生じました。これらの問題を解決する手段として、「FIP制度」が導入されることが決定されました。この新制度は再生可能エネルギーを段階的に電力市場に統合するための措置です。特に、今後新規に認定される一定規模以上の施設については、FIP制度のみが適用されます。
加えて、新規認定でFIT制度が適用される対象についても変更があります。50kW以上の発電能力を持つ施設では、事業者の希望に応じてFIP制度による新規認定を選択することが可能になりました。さらに、すでにFIT認定を受けている50kW以上の施設についても、事業者が希望する場合にはFIP制度への移行が可能です。
このように、FIT制度とFIP制度が今後共存することになります。両制度が進んで利用されることで、国内の脱炭素化の取り組みがさらに推進されることでしょう。
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