近年、ビジネスの持続可能性を求める声が高まり、再生可能エネルギーの導入が企業の競争力を左右するキーファクターとなっています。
再生可能エネルギーを導入しない企業は、取引先との関係悪化やブランドイメージ低下といったリスクに直面します。

しかし、「再生可能エネルギーを導入したいが、適切な設置場所がない」という理由で躊躇している企業も少なくありません。

こうした企業の課題を解決する方法として、「自己託送」スキームがあります。
「自己託送」スキームとは、電力会社の送電線を利用して、ある場所で生成された再生可能エネルギー(太陽光など)を別の場所で使用するというものです。
この方法により、設置場所の制約から解放され、選択肢が広がります。

このコラムでは、「自己託送」の仕組み、それがもたらすビジネスのメリット、考慮すべきデメリットについて解説します。

自己託送とは?

「自己託送」とは、自社の敷地内に太陽光パネルの設置スペースが足りない、あるいはすでに上限まで設置済みの企業も、自社の遠隔地の拠点、あるいは協力会社に設置した太陽光発電施設で発電された電気を自社で活用する仕組みです。
このスキームによって、既存の施設だけでなく新たな発電場所の設置も検討できるようになるため、次世代の再生可能エネルギー利用戦略として、多くの企業から注目されています。

自己託送を行う際、遠隔地にある自社拠点もしくはグループ会社(親会社・協力会社など)、自社とつながりの深い場所を選択します。ちなみに、遠隔地から電気を送ってもらうことをオフサイト自己託送、逆に遠隔地に電気を送ることをオンサイト自己託送と呼びます。

自己託送のイメージ図

自己託送の4つのメリット

自己託送が大きな注目を集める要因となっているメリットは次のとおりです。

①パネル設置スペースの制限がない

自己託送の最大のメリットは、自社の施設に太陽光パネルを設置するスペースがない場合でも、遠隔地での太陽光発電所の所有や利用が可能であることです。
確かに、自社施設と親和性を持つ土地や施設での設置が前提となりますが、スペースの問題だけで太陽光発電の導入を見送る必要はありません。

②電気代を削減できる

自己託送は、他の太陽光発電のスキームと同様、自己消費を通じて電気料金を大幅に削減することが可能です。
特に、自社施設の屋根の限られた面積での設置となるオンサイト型とは異なり、オフサイト自己託送では大規模な工場や屋外での設置といった選択肢を取ることができます。
これによって、オンサイト型に比べてさらに電気料金の大幅な節約が期待できます。
また、電力の自家消費分の再エネ賦課金を払う必要が有りませんのでさらなる節電効果が見込むことができます。

③再エネ比率の向上

自社施設の屋根や敷地内を太陽光発電の設置エリアの対象とすると設置できる面積や発電量に自然な上限が存在します。
一方、自己託送を採用すれば、遠隔地に広範囲の太陽光発電所を設置することが可能となり、自社施設の面積の制約を受けずに再エネ比率を向上させることができます。
これは、企業が再生可能エネルギーの取り組みを進める際の強力なアドバンテージと言えるでしょう。

④余剰電力の効率的な活用

オンサイト型の太陽光発電では、定休日などの発電量が消費量を超える時間帯に、余剰の電力が生まれることがあります。
この余剰電力は部分的に電力会社に売電されるものの、そのすべてが最大限に活用されるわけではありません。
しかしながら、自己託送を活用すれば、定休日に生じる余剰電力を他の稼働している施設に転送し使用することも可能です。
異なる定休日を持つ子会社や関連会社への電力供給を通じて、余剰電力をより効果的に活用することができます。

自己託送の5つのデメリット

自己託送のメリットに目が行きがちですが、デメリットも理解することで全体的な判断が可能になります。
ここからは自己託送における主なデメリットについて詳しく解説します。

①需要量や発電量の計画値の提出が必要

計画値同時同量制度の仕組み

自己託送をスムーズに実施するため、「計画値同時同量制度」の要件を遵守することが必要です。
計画値同時同量制度は、電力供給の安定を目的とする制度で、電力供給者は30分ごとの電力の需要と供給を予測し、その予測値を一般配電事業者(電力会社)へ提出しなければなりません。
太陽光発電の出力や企業の電力需要の変動に伴い、この予測値も変化することから、日常的な監視と管理が必須となります。

②ペナルティを課せられる可能性がある

計画値同時同量制度においては、電力供給者は自身の電力供給計画を精密に立てることが求められます。
これは、計画値と実績値が一致しない場合、「インバランス制度」によりペナルティを課される可能性があるからです。
電力供給の計画値と実績値の差があると、電力系統は不安定になり、地域の電力供給の安定性に大きな影響を及ぼす可能性があります。
その結果、その調整費用として追加料金が発生します。
したがって、電力供給者は、天候や過去の需要実績などを基に精密な予測を行うことが重要です。

③導入に高いハードルが存在する

太陽光発電所の設置だけでも、設置費用や材料費、メンテナンス費などの大きなコストが発生し、導入のハードルは相当に高いです。
さらに、自己託送制度はまだ全国的には活用例が少なく、電力会社も対応に不慣れであるため、協議が難航し時間がかかることが予想されます。
電力会社の許可がなければ送配電ネットワークが許されませんから、オンサイト型と比較しても導入のハードルは一段と高いと言えます。加えて、送電線の利用可能な容量に制限があるため、導入を検討する前に、利用可能な容量の確認が必要です。

④補助金の活用が難しい

太陽光の導入に際し、補助金を活用することでコスト負担を軽減することが一般的です。
しかし、自己託送を選択すると、この補助金の活用が困難となります。
これは、自己託送がまだ広く普及していない理由の一つとも考えられます。

⑤BCP(事業継続計画)対策としての利用が難しい

太陽光発電所の魅力の一つとして、停電時や災害時に自立運転を行い、電力供給を続ける能力があります。しかし、自己託送では送電そのものが停止した場合に、発電電力供給も停止してしまいます。
そのため、BCP対策として太陽光発電を期待するのは難しくなります。

まとめ

自己託送は、太陽光発電の導入を検討しているが設置スペースが制限されている企業にとって、極めて魅力的な制度となっています。
遠隔地からの送電により、太陽光発電による電力量の増加、余剰電力の有効活用、そして再エネ比率の向上という大きな利点が得られます。
しかしながら、自己託送は高度なスキームであり、さまざまな制約や制度、提出書類などにより一定の負担が伴うデメリットも存在します。

このコラムでは、自己託送の基本的な概要から、そのメリット・デメリットについてご紹介しました。しかし、近年では、電力監視技術の向上でこのデメリットも徐々に解消され、加えて余剰電力の売電もできるスキームも開発されています。再生可能エネルギーの導入を検討される際は、自己託送も視野に入れて考えてみてください。

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