基礎知識 2023.09.06

【法人向け】太陽光発電でよくある『失敗・トラブル例』後悔しないための対策とは?

近年、太陽光発電所の設置を検討する企業様が増えてきています。
SDGsや脱炭素社会への取り組みに乗り遅れないよう、太陽光発電の導入が注目されているのです。

ただし、コスト面や設置後の不安から、設置に踏み切れない企業様も少なくありません。
そこで、今回は太陽光発電でよくある『失敗・トラブル例』をもとに後悔しないための対策をご紹介します。

法人太陽光発電における契約時の失敗・トラブル例

非現実的な発電シュミレーションの結果に惑わされる

太陽光発電所の見積もりでは、発電シミュレーションの結果も検討材料の一つとして提供されます。
ただし、太陽光発電所の販売を何とか成立させようとするあまり、非現実的なシミュレーションを提示する業者も存在します。
その結果を鵜呑みにしてしまうと、電気料金の削減が期待できず、売電の場合は収益が赤字に転落することもあります。
そのため、シミュレーションの根拠は自分で確認し、整合性を検証することが重要です。

業者の経験や技術力不足

近年、太陽光発電が大きな注目を集めていることから、太陽光発電業界に参入する業者が増えてきています。
しかし、こうした新規参入の業者は、太陽光発電設備の施工ノウハウや設置システムの構築が十分に整っていないことが多く、経験不足や技術不足により、依頼主の期待に応えられない結果になることがあります。
そのため、見積もりや契約時に業者の経験や実績を確認することが重要です。

法人太陽光発電における設置後の失敗・トラブル例

積雪による問題

太陽光パネルに雪が積もると発電量はゼロになります。そのため、特に雪の多い地域では、冬季の発電シミュレーションをゼロとして計算することが一般的です。
しかし、冬季の発電シミュレーションを考慮しないと、前述したとおり、期待される発電量が得られない事態が発生することがあります。
そのため、冬季にどの程度発電が見込まれるかを確認することも、失敗を避ける上で重要なポイントです。

▼積雪地域の太陽光発電については、こちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
積雪地域の太陽光発電ってどうなの?導入の際のメリット・デメリット・注意点とは?

台風で太陽光パネルが損傷、飛散

基本的に太陽光パネルは金物で固定する工法で施工します。固定する点数が多ければ多いほど飛散リスクは減少します。
一方で、固定する点数が極端に少ないと飛散リスクは増大します。太陽光パネルは1枚あたり20kg程度あるため、風に煽られてパネルが飛散する事態が発生すると、重大事故につながる可能性があります。
見落としがちな点ですが、固定点数の確認も実施しましょう。

メンテナンス不足による損失と事故

かつて、太陽光パネルは「メンテナンスフリー」と言われることもありましたが、実際にはそうではありません。メンテナンスは必ず行うべきです。
事故や不具合を放置すると、発電量への大きな影響だけではなく、火災や漏電などの事故につながることがあります。
太陽光発電所は遠隔で監視が可能であり、監視の頻度や不具合が発生した際の対応を把握することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

雨漏りの発生

太陽光発電所の施工方法は、屋根の形状や材質に応じて大きく異なります。さまざまな工法が存在しますが、その中でも屋根に穴を開けてビスでパネル設置用のレールを取り付ける工法があります。
この工法では、屋根に穴を開けるため、コーキングなどで防水処理が不可欠です。防水処理が不十分だと、穴が開けられた箇所から雨漏りが発生し、企業に大きな損害をもたらすことがあります。
そのため、事前に防水処理の工法を確認することが重要です。

想定よりも発電量が少ない

前述のとおり、非現実的な発電シミュレーションにより期待される発電量に届かない場合がありますが、別の原因で発電量が想定より低くなるケースも存在します。特に一般的なのが、影を考慮しない配置による影響です。周囲の建物や樹木によって太陽光パネルに影がかかると、発電量は大幅に低下します。
このため、業者との配置図の確認とお互いの理解を深めることが重要です。
さらに、可能であれば現地調査を行い、具体的な影の発生状況や時間帯を把握することも有効です。

反射光・騒音などの近隣トラブル

太陽光パネルの反射光で近隣トラブルが発生したり、工事中の騒音トラブルでクレームが入ったりする話をよく耳にします。
このようなトラブルを避けるために、業者はもちろん、お客様自身でも反射光による被害や影響がないか、騒音トラブルにならないように確認し、シミュレーションする必要があります。
これを念頭において、安心して太陽光発電所の設置を進めましょう。

業者の倒産による保証や対応

長期契約を結んだにも関わらず、業者が倒産してしまうという事態も想定しなければなりません。なぜなら、太陽光発電業界には新規参入する業者が増えており、競争が激しくなっています。
このため、業者が倒産した場合の補償や対応を事前に把握し、万が一の時に備えることが重要です。
信頼できる業者との契約で安心して太陽光発電所を運用できるように、事前に確認しておきましょう。

太陽光発電の導入で失敗・後悔しないためのポイント

正確なシミュレーション値を計算する

シミュレーション値は収益や電気代の削減率に大きく関係します。だからこそ、正確なシミュレーション値が重要です。
しかし、計算方法が分からない、難しそうだといった理由で提示された値を鵜呑みにしてしまう企業様が多いです。
一方で、簡単な計算式を用いて、ある程度の値を算出することができます。

以下の計算式を参考にしてください。

【発電シミュレーションの計算例】

ある商業施設が太陽光発電システムを導入しようと考え、年間発電電力量をシミュレーションする場合を考えてみましょう。
標準状態における太陽電池アレイ出力[※1]は、太陽光パネルが最大で発電できる出力で、例として50kWとします。
設置場所での日射量は、その地域の1日あたりの平均日射量で、例として4.5kW/㎡とします。
総合設計係数[※2]は、0.7とします。
これらの値を用いて、年間発電電力量を計算します。

年間発電電力量(kWh/年)=
50kW(標準状態における太陽電池アレイ出力)×4.5kWh/㎡(設置場所での日射量)×0.7(総合設計係数)×365
=50×4.5×0.7×365
=56,737.5kWh/年

このシミュレーションにより、商業施設が導入する太陽光発電システムの年間発電量はおおよそ56,737.5kWh/年であることが分かります。
この値を用いて、発電量に応じた収益や効果を試算することができます。
ただし、影響を受ける要素は他にもありますので、専門家の意見も参考にすることが望ましいです。

[※1]太陽電池アレイ出力:太陽光を電力に変換する能力のこと。太陽の明るさ、太陽電池の向きや効率、面積などにより出力は変化します。
[※2]総合設計係数:建築や構造設計における概念で、設計時に考慮すべきさまざまな不確定要素や予測不能な条件を考慮した上での安全係数のことを指します。材料の品質のばらつき、構造計算の不確実性、施工上の誤差、将来の使用状況の変化などが含まれます。

メンテナンス、保障について理解・確認する

太陽光パネルは、購入後何十年もの間、共に歩む製品となります。その間、エラーや故障が起きる可能性があります。
それを未然に防ぐために、メンテナンスが重要であることを前述しました。
そのため、どのような保証が受けられるのか、メンテナンスはどの頻度で行われるのかを確認する必要があります。また、重大な事故を防ぐためにも、メンテナンスや保証に関する理解を深めることをお勧めします。

▼太陽光発電のメンテナンスについては、こちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
【法人向け】太陽光発電のメンテナンスは義務化ってホント?費用相場についても解説!

業者が法人として登記されているか確認する

これまでに、業者の経験やシミュレーションの正確性などを述べましたが、さらに業者・企業が法人として登録されているかどうかの確認も重要です。
法人登録されていることにより、社会的信頼や施工責任が担保されるため、安心して任せることが可能です。

施工実績が10件以上の業者を選択する

業者の経験やシミュレーションが良好であっても、施工実績がなければ不安は残るでしょう。不安を払拭するためには、実績という数字で判断するほかありません。
実績がある業者の中でも、特に10件以上の施工実績がある業者は、手慣れておりますので、施工もスムーズに進みます。

まとめ

太陽光発電所で失敗するポイントをいくつかご紹介しました。
その中でも、特に重要なポイントは以下の3つです。

1.太陽光発電所の施工や管理に実績があるか
2.発電シミュレーションは正確か
3.メンテナンスの体制は問題ないか

弊社FDは、大手企業様との実績もあり、さまざまな形状の屋根に対応した設置実績があります。
また、発電シミュレーションも、前述した公式よりもはるかに正確なシミュレーションを提示することができます。メンテナンスについては、毎日遠隔監視を確認し、異常が発生した際には、原因究明を急ぎ、修繕工事の手配を行います。

太陽光発電所の設置で「失敗した」という企業様の声を少しでも減らすために、この記事を執筆しました。
ぜひ、ご自身の希望に合った企業を選び、後悔のない設置工事を行ってください。