近年、再エネ比率向上の施策や関連法の整備を背景に、太陽光発電所の導入を検討する企業が増えています。

ただ、コスト面や設置後の不安から導入をためらう企業も少なくありません。この記事では、よくある失敗・トラブル事例をもとに、「やらなきゃよかった」と後悔しないための対策を解説します。

産業用太陽光発電における契約時の失敗・トラブル事例

①太陽光発電の過大なシミュレーション結果に惑わされる

太陽光発電所の見積もりでは、発電シミュレーションの結果も検討材料の一つとして提供されます。
ただし、太陽光発電所の販売を成立させようとするあまりに非現実的なシミュレーションを提示する業者も存在します。
その結果を鵜呑みにしてしまうと、電気料金の削減が期待できず、売電の場合は収益が赤字に転落することもあります。
発電シミュレーションの根拠は、自分で確認し整合性を検証することが重要です。

②業者の経験や技術力不足

近年、太陽光発電が大きな注目を集めていることから、太陽光発電業界に参入する業者が増えてきています。
しかし、新規参入の業者は施工ノウハウが十分でなく、結果として依頼主の期待に応えられないケースも見られます。
見積もりや契約時には、業者の経験や実績を必ず確認しましょう。

産業用太陽光発電における設置後の失敗・トラブル事例

③雪が太陽光発電に与える影響を無視した発電シミュレーション

太陽光パネルに雪が積もると発電量はゼロになります。そのため、特に雪の多い地域では、冬季の発電シミュレーションをゼロとして計算することが一般的です。
しかし、冬季の発電シミュレーションを考慮しないと、前述したとおり、期待される発電量が得られない事態が発生することがあります。
冬季にどの程度の発電量が見込まれるかを確認しておくことが、失敗を防ぐ鍵になります。

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積雪地域の太陽光発電ってどうなの?導入の際のメリット・デメリット・注意点とは?
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④台風による太陽光パネルの割れ、破損

基本的に太陽光パネルは金具で固定する工法で施工します。固定する点数が多ければ多いほど台風などの風で煽られた際に割れるリスクは減少します。
一方で、固定する点数が極端に少ないと破損リスクは増大します。太陽光パネルは1枚あたり20kg程度あるため、風に煽られてパネルが飛ばされると、重大事故につながる可能性があります。
見落としがちな点ですが、設置場所の気象条件や太陽光パネルの固定方法の確認も実施しましょう。

⑤太陽光発電設備のメンテナンス不足による損失と事故

かつて、太陽光パネルは「メンテナンスフリー」と言われることもありましたが、実際にはそうではありません。メンテナンスは必ず行うべきです。
不具合を放置すると、発電量の低下だけでなく、火災や漏電などの重大トラブルにつながるおそれがあります。
太陽光発電所は遠隔監視が可能であり、監視の頻度や不具合が発生した際の対応を把握することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

⑥太陽光パネル設置で発生する雨漏りリスク

太陽光発電所の施工方法は、屋根の形状や材質に応じて大きく異なります。さまざまな工法が存在しますが、その中でも屋根に穴を開けて、ビスでパネル架台を取り付ける工法があります。
この工法では、屋根に穴を開けるため、コーキングなどで防水処理が不可欠です。防水処理が不十分だと、穴が開けられた箇所から雨漏りが発生し、大きな損害をもたらす恐れがあります。
そのため、事前に防水処理の工法確認を怠らないようにしましょう。

⑦想定よりも太陽光発電量が少ない

前述のとおり、非現実的な発電シミュレーションにより期待される発電量に届かない場合がありますが、別の原因で発電量が想定より低くなるケースもあります。一般的なのが、影を考慮しない配置による影響です。周囲の建物や樹木によって太陽光パネルに影がかかると、発電量は大幅に低下します。
業者と配置図を確認し、必要に応じて現地調査を行うことで、影の影響を事前に把握できます。

⑧太陽光パネルの反射・工事中の騒音トラブル

太陽光パネルの反射光で近隣トラブルが発生したり、工事中の騒音トラブルでクレームが入ったりする話をよく耳にします。設置業者が事前に調査・対策を行いますが、設置者自身も地域の条例を確認し、反射光や騒音トラブルに配慮することが大切です。安心して太陽光発電所の設置を進めましょう。

⑨太陽光発電業者の倒産による保証や対応

メンテナンスや電力購入契約のために長期契約を結んでいたとしても、太陽光発電業者が倒産した場合も想定しておく必要があります。なぜなら、太陽光発電業界には新規参入する業者が増えており、競争が激しくなっているからです。
信頼できる業者との契約で安心して太陽光発電所を運用できるように、事前に確認しておきましょう。

産業用太陽光発電の導入で失敗・後悔しないためのポイント

①正確な発電シミュレーション値を計算する

発電シミュレーション値は収益や電気代の削減率に大きく関係します。だからこそ、正確なシミュレーション値が重要です。
しかし、計算方法が分からない、難しそうだといった理由で提示された値を鵜呑みにしてしまう企業様が多いです。
一方で、簡単な計算式を用いて、ある程度の値を算出することができます。

以下の計算式を参考にしてください。

【発電シミュレーションの計算例】

ある商業施設が太陽光発電システムを導入しようと考え、年間発電電力量をシミュレーションする場合を考えてみましょう。
標準状態における太陽電池アレイ出力[※1]は、太陽光パネルが最大で発電できる出力で、例として50kWとします。
設置場所での日射量は、その地域の1日あたりの平均日射量で、例として4.5kW/㎡とします。
総合設計係数[※2]は、0.7とします。
これらの値を用いて、年間発電電力量を計算します。

年間発電電力量(kWh/年)=
50kW(標準状態における太陽電池アレイ出力)× 4.5kWh/㎡/日(設置場所での日射量)× 0.7(総合設計係数)× 365日
=50 × 4.5 × 0.7 × 365
=56,737.5 kWh/年

このシミュレーションにより、商業施設が導入する太陽光発電システムの年間発電量はおおよそ56,737.5kWh/年であることが分かります。
この値を用いて、発電量に応じた収益や効果を試算することができます。
ただし、発電量に影響を与える要素は他にもありますので、専門家の意見も参考にすることが望ましいです。

[※1]太陽電池アレイ出力:太陽光を電力に変換する能力のこと。太陽の明るさ、太陽電池の向きや効率、面積などにより出力は変化します。
[※2]総合設計係数:配線損失、温度上昇による効率低下、パネル劣化などを考慮した補正係数。一般的に0.7〜0.8程度で設定します。

②太陽光発電のメンテナンス、保証について理解・確認する

太陽光パネルは、購入後何十年もの間、共に歩む製品となります。その間、エラーや故障が起きる可能性があります。
それを未然に防ぐために、メンテナンスが重要であることを前述しました。
そのため、どのような保証が受けられるのか、メンテナンスはどれくらいの頻度で行われるのかの確認も欠かせません。また、重大な事故を防ぐためにも、メンテナンスや保証に関する理解を深めることをお勧めします。

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③業者が法人として登記されているか確認する

これまでに、業者の経験やシミュレーションの正確性などを述べましたが、さらに業者・企業が法人として登録されているかどうかの確認も重要です。
法人登録されていることにより、社会的信頼や施工責任が担保されるため、安心して任せることが可能です。

まとめ

太陽光発電所で失敗するポイントをいくつかご紹介しました。特に重要なポイントは以下の3つです。

1.太陽光発電所の施工や管理に実績があるか
2.発電シミュレーションは正確か
3.メンテナンスの体制は問題ないか

弊社FDは、大手企業様との実績もあり、さまざまな形状の屋根に対応した設置実績があります。
また、発電シミュレーションも、前述した公式よりもはるかに正確なシミュレーションを提示することができます。メンテナンスについては、毎日遠隔監視を確認し、異常が発生した際には、原因究明を急ぎ、修繕工事の手配を行います。

太陽光発電所の設置で“失敗した”という声を減らすために、本記事で注意点をまとめました。信頼できる企業を選び、後悔のない設置を進めてください。