パリ協定をきっかけに、世界的に再生可能エネルギーの活用が加速しています。日本でもSDGs(持続可能な開発目標)やRE100などの取り組みが広がり、企業が「脱炭素経営」や「環境経営」に積極的に取り組む流れが強まっています。

2020年、政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言しました。こうした背景から注目を集めているのが「法人向け自家消費型太陽光発電」です。CO2削減効果だけでなく、電気料金の削減やBCP(事業継続計画)対策など、多くのメリットがあります。

このコラムでは、自家消費型太陽光発電の仕組みや導入メリット・デメリット、費用相場まで、はじめての方でも理解できるようにわかりやすく解説します。
法人で太陽光発電導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

法人向け自家消費型太陽光発電とは?

「自家消費型太陽光発電」とは、企業が自社で発電した電力を自ら消費する仕組みです。発電と消費が同じ場所で行われるため、電力会社からの購入量を減らし、電気代の大幅削減ができます。

太陽光発電の自家消費には、発電余剰電力を利用しない「全量自家消費」と自家消費に加えて余剰電力を市場に売電する「自家消費+余剰売電」の2つの方法があります。
しかしながら、近年の電力市場の変動により、売電価格は低下傾向にあります。一方で、電力の購入価格は燃料代の高騰などにより逆に上昇しており、これらの相反する動きが自家消費+FIT・FIPを利用した余剰売電などの新たな選択肢を求めるきっかけとなっています。

売電をおこなう場合には収益と設備の初期投資コスト・メンテナンスコストの収支を見極めた上でどちらかの方法が良いかを選択する必要があります。

1.全量自家消費

「全量自家消費」とは、自ら発電した電力をすべて自分たちで使用する方法です。
この方法では、自社や自宅で発電した電力を直接消費するため、購入電力量を大幅に減らし電気料金を削減できます。

全量自家消費は、電力の売却を行わないため、電力会社との契約や固定価格買取制度(FIT)の申請などが不要です。
特に、発電量が電力消費量をカバーできる場合、全量自家消費は非常に有効です。電力消費量が大きい企業、製造業、生産業に最適です。日中の電気使用量が多い、または稼働時間が短い企業にも適しています。

2.自家消費+余剰売電

発電量が消費量を上回った際の余剰電力を電力会社に売る仕組みを『余剰売電』と呼びます。

余剰売電の場合、自家消費による電気料金の削減と、売電による収益の二重の経済効果を享受できます。そのため、発電量が電力消費量を上回るような状況、または発電した電力を全て消費しきるほどの需要がない企業や事業者にとって、この方法は最適と言えるでしょう。

法人が自家消費型太陽光発電を導入する7つのメリット

自家消費型太陽光発電を導入するとどんな利点があるのか、具体的に7つのメリットを詳しくご紹介します。

①電気料金が削減できる

自家消費型太陽光発電の最大の利点は、電気料金の大幅な削減です。発電設備を自社で持つことで電力購入量を減らせます。
当然、初期導入には費用が必要ですが、その費用を長期的に見れば、大幅な経済的節約となります。

②CO2排出量が削減できる

環境にやさしい、というメリットは、太陽光発電の特長としてよく挙げられますが、具体的な数値で見てみましょう。
火力発電では、1kWhあたりの発電時に519〜975gのCO2が排出されるとされています。しかし、太陽光発電ではその数値は17〜31gまで下がります。
つまり、太陽光発電を利用すれば火力発電に比べてCO2排出量を約1/30に減らすことが可能です。

このCO2排出量の削減は、国が推進している「J-クレジット制度」の対象にもなります。
この制度では、温室効果ガスの排出削減や吸収量が「クレジット」として認定され、それを売却することで収益を得ることも可能です。環境問題への配慮という点で企業のPR効果も期待できます。

③BCP対策(事業継続計画)に役立つ

BCP対策(事業継続計画)とは、災害や緊急事態に備えて企業が策定する行動計画を指します。
この観点からも、自家消費型太陽光発電は重要な役割を果たします。

自立運転可能なパワーコンディショナー※1を導入することで、電力供給が断たれた状況でも、非常用の電源を確保することが可能です。
これは、災害時や停電時にも通信や情報収集を継続できることを意味し、企業の事業継続能力を大幅に強化します。

※1 パワーコンディショナー:太陽光からのエネルギーを電力に変換し、最適な状態に調整する機器。

④余剰売電による収入が得られる

余剰売電とは、自身で発電した電力を電力会社に販売し、追加の収入を得る手法を指します。こうした収入は、自家消費型太陽光発電システムの初期投資を早期に回収する一助になる一方、新たな利益源にもなり得ます。

ただし、売電価格は電力会社や時期により異なるので、電力会社ごとの契約詳細をしっかりと確認し、自身の状況に最適な契約を選ぶことが肝心です。

余剰売電による収入は、電気料金を削減するだけでなく、ビジネスに新しい価値を加え、事業の多角化を推進します。そのため、発電量が電力消費量を上回る可能性がある企業や事業者にとっては、有用な選択肢の一つとなります。
ただし、売電のためには売電設備の設置や維持管理、申請手続きなどが必要になるため、それらにかかるコストと労力もしっかりと考慮に入れることが重要です。

⑤環境経営の推進に活用できる

世界的にはパリ協定の採択やSDGsの推進など、環境に配慮した経営、いわゆる環境経営が求められています。多くの企業がRE100に加盟し、再生可能エネルギーへのシフトを進めています。
そして、日本も2030年までに再生可能エネルギーの割合を電源構成比率の36〜38%にすることを目標としています。

この状況を踏まえると、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの導入は、企業の発展や持続可能性に対するコミットメントの表れとなり、企業の評価を高める重要な要素となっています。

環境経営に取り組む一般的なメリットとして、以下のようなものがあげられます。

  • ①取引先の企業から評価ポイントが上がる。社会的信頼が得られる。
  • ②国や自治体から優遇措置や補助金を活用した制度が利用できる。
  • ③金融機関から融資が受けやすく、保険料が安くなる。

法人が知っておくべき自家消費型太陽光発電導入の3つのデメリット

自家消費型太陽光発電を導入する際には、デメリットも考慮する必要があります。
以下に3つのデメリットを紹介します。

①初期投資が必要

太陽光発電所を設置するためには、パネルの設置だけでなく、架台や発電装置などの必要な機器もあります。工事費用もかかるため、自家消費型太陽光発電の導入は費用面での大きなポイントとなります。

初期投資費用の目安(屋根設置:システム容量1kWあたりの概算費用)

システム容量概算費用
100kW未満148,000円/kW
150kW~250kW未満130,000円/kW
500kW以上116,000円/kW

②発電量は天候や時間帯に左右される

太陽光発電は、その名の通り太陽の光を利用して発電します。したがって、その発電量は時間や天候の影響を強く受けます。
日の出前や日没後の時間帯では太陽の光が少なくなり、発電量は大幅に減少します。雪が多い地域や雨量の多い地域では、発電量はさらに変動する可能性があります。

太陽光発電の導入を検討している方は、地域の気象条件を考慮したシミュレーションを行うことが重要です。シミュレーションでは具体的な発電量を予測し、導入の効果を正確に評価できます。

▼見積り・シミュレーション作成のご依頼は、以下のページからお申し込みいただけます。

⇒自社に太陽光設備を導入したい企業へ|産業用太陽光発電の企画提案・施工・保守

③メンテナンス・維持管理費用が必要

太陽光パネルの維持管理は法律で定められています。特に、広大なエリアに設置された太陽光パネル(野立て)の場合、植生の管理やパネルの清掃など、定期的なメンテナンスが必須となります。さらに、定期的な点検、保険料、故障や破損時の修理代など、様々な維持費用が発生します。

自家消費型太陽光発電を導入する際は、所有者自身がこれらの費用を負担するため、メンテナンスと維持費用の計算が重要です。
年間にどれだけの費用が発生するかを正確に計算し、それを予測発電量や電力費用の節約額と照らし合わせることで、太陽光発電の導入が経済的に有効であるかを判断しましょう。

メンテナンス費用の目安(パネル容量1kWあたりのメンテナンス費用)

パネル容量価格(年間)※1設備あたり
50kW未満150,000円/kW
100kW以上300kW未満250,000円/kW
500kW以上1,000kW未満500,000円/kW
2,000kW以上特高未満950,000円/kW

自家消費率を高める3つの方法

太陽光発電を導入している企業の平均自家消費率は約30%とされていますが、具体的な数値は企業や業種によって大きく異なります。
ここでは、自家消費率を高めるために特に注意が必要なポイントについて解説します。

①設置方角・パネル枚数を最適化

太陽光パネルを設置する方角と数は発電効率に大きな影響を与えます。一般的には、真南が最も効率的な設置方向とされています。真南から見て東や西に設置すると日射量はやや減少しますが、それでも効果的な発電が可能です。しかし、北向きに設置すると発電量は大幅に低下するため、避けましょう。

また、設置するパネルの数は、企業の電力使用量に合わせて適切に選ぶことが必要です。通常の電力使用量を正確に把握し、その量に対して適切な数のパネルを設置することで、最も効率的な発電を実現できます。一方で、必要以上に多くのパネルを設置すると、初期投資やメンテナンスのコストが増大し、経済的なメリットが低下する可能性もあります。

設置の際には、方角とパネルの枚数を慎重に検討し、専門家の助言やシミュレーションを考慮して自社の電力使用量に最適なシステム容量の設備を導入しましょう。

②蓄電池の導入

蓄電池は、太陽光発電が生成した電力を一時的に蓄える設備です。モバイルバッテリーのような機能を持ち、発電した電力を一時的に保存する役割を担います。
特に日中に多く発電した電力が余った場合、それを蓄電池に保存しておくことで、夜間や日照が不十分な時間帯に使用できます。これにより、24時間を通じて電力の自給自足が実現できます。

蓄電池を導入すると電力会社からの電力購入を削減できます。自家消費が難しい時間帯や電力需要が急増する場面でも、蓄電池から電力を取り出して利用することで、外部からの電力供給を大幅に抑制できます。

③遠隔地への送電(=電力の自己託送)

電力の自己託送は、遠隔地にある自社拠点や協力会社の太陽光発電電力を自社工場に供給することが可能にします。その逆も可能です。この方法は、遠隔地における太陽光発電の利用を可能にし、大規模な投資を抑制しながら、自家消費型太陽光発電の効果を最大限に発揮できる有効な手段です。

自己託送を利用する際には、再エネ賦課金※2の適用が除外されます。
この賦課金は通常、再生可能エネルギーの普及を促進する目的で設けられていますが、自己託送制度を用いることで、その負担を回避できます。
つまり、自己託送はエネルギーコストの削減、電力供給の安定化、そして環境への負荷軽減などの利点をもたらします。

※2 再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金):再生可能エネルギーの普及を目指す政策の一環で、電力会社が再生可能エネルギーの発電者から電力を買い取る際の費用を、電力使用者全体(企業や家庭など)で分担する制度のことを指します。

まとめ

本記事では、法人向け自家消費型太陽光発電に関する基本的な内容や仕組み、メリット・デメリットについてご紹介しました。
昨今の売電価格の低下や電気料金の高騰を考えると、自ら電気を発電し、使用する「自家消費」は経済的で環境的にも良い選択肢です。ただし、デメリットもありますので、事前にシミュレーションを行い、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

株式会社FDでは「導入効果が分からない・・・」「一度シミュレーションをしてほしい」など太陽光発電に関するご相談を受け付けております。
貴社に最適な選択をトータルでサポートいたします。

【太陽光発電の導入について、こんなお悩みはありませんか?】

  • エネルギー問題への取り組みを始めたいが、具体的な方向性が見えない
  • 省エネに取り組んでいるが、具体的な効果が感じられない
  • 太陽光発電設備の導入を考えているが、必要な投資や効果について詳しく知りたい
  • 設備導入に際してのポイントや、信頼できる提供企業を知りたい
  • 太陽光発電に関するさまざまな疑問や課題を解決したい
  • 補助金制度の利用方法について知りたい

このようなお困りごとがありましたら、ぜひとも私たち株式会社FDへご相談ください。
私たちは太陽光発電設備の提案・導入・稼働・管理までを総合的にサポートするプロフェッショナルです。
まずは、以下のリンクから資料をダウンロードしてご覧ください。

太陽光発電導入のご提案 電気は作って”運ぶ”時代へ